宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」を見て

感想・つぶやき

 夏休みに突入しています。

昨日、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を子どもと見てきました。

子どもとお出かけする機会、ゲットです。

最初に書いてしまうと、見てよかったです。

今までみたジブリ作品の中で、一番ストレートにメッセージが伝わってきました。

私自身が年を取ったせいもあると思います。

今日はその感動が冷めないうちに感想文を書いていきます。

主人公が男の子

 ジブリと言えば、女の子が駆け回る映画の印象が強いのですが、今回の主人公は男の子。

しかも思春期で、子どもと大人のはざまで揺れ動く多感な年頃です。

小さなころにお母さんを亡くし、心の中ではいつでもお母さんを求めています。

そんな彼が、新しいお母さんをすんなりと受け入れることができるはずもありません。

しかも、そのお母さんは、実の母の妹さんでおなかの中には赤ちゃんもいます。

昭和初期まで、きょうだいで婚家に入っていく話、珍しくなかったんですよね。

私の父の知り合いでもいます。

また、裕福な家庭のお坊ちゃんで目に見える形の部分では不自由さはありません。

不満を言葉にできず、鬱屈した毎日です。

ちょっとひねくれていく様子も描かれているんですが、理解できます。

時代は太平洋戦争の頃でしょうか。

東京も空襲に襲われていました。

登場人物みんなが生と死について毎日向き合わざるを得ない緊張感を感じました。

キャラの濃い登場人物

 登場人物一人一人に、本人が主役の物語があります。

その人の性格、抱える歴史とよろこびや悲しみ。

それにしても、おばあちゃんってかわいいですよねぇ。

でもそんなおばあちゃんだって、若くてばりばりやっていた頃があるんです。

そのギャップも良かったです。

ほっこりするかわいいキャラクター「わらわら」も存在します。

動きが子どもそのもの。

可愛すぎ。

わらわらって今のネット用語から持ってきたのかと思っていました。

でも、子どもとして生まれ変わるって聞いたときから「童(わらべ)」から来たのかもと思っています。

 意地悪な人物も、癖の強い人物も、仲間になって一緒に課題をクリアしていくのって日本の文化だなって思います。

異空間の存在

 不思議な建物が登場し、そこから異空間へ導かれます。

もちろん、案内人もいるわけですが不思議なことばかりが起こります。

それを謎解きしていくのも面白かったし、推測することも楽しかったです。

鳥の世界で表現されていることにも深いメッセージを感じています。

 今回、ハウルの動く城だとか千と千尋の神隠しだとか以前のジブリ作品を思い出す風景がたくさん出てきました。

テレビでジブリ作品が放送されるたびに、みてしまう私です。

気付くたびにうれしくなりました。

美しいアニメーション

 アニメを見にいくと、いつも目を奪われるのが絵の美しさです。

布ひとつの動きをとっても、芸術です。

ため息がもれてしまいそうです。

普段、ものの動きを感じることができていなかったなって不注意さを省みます。

草を風が渡る様子、木の揺れ、変化する波の形、体の動きなど。

アニメーションならでの脚色もあるでしょう。

それでも、ひとつも妥協していないこだわりに対して、表現する言葉が見つかりません。

目をぐっと開いて、隅々まで絵を見るようにしています。

現実を生きる私が感じたこと

 まず、主人公のお父さんが帰宅するなり新妻といちゃつくところがえーって思いました。

トラブルをお金や権力で解決しようとしたり。

でもいい父親っぽいことを自負していそうで残念な役だと思いました。

いるよねー、こんな人。

心の底から家族を愛しているんですけどね。

あと、男の子ってよくお母さんを強く求めますよね。

これって一生なのかしら。

男性が女性に強く母性を求めることで、世の中の女性は疲れております。

それと、家庭で心の在り方について話し合う時間ってどれぐらいあるんでしょうか。

一人一人の心の動きについて話し合う時間。

矛盾に満ちた社会や複雑に絡み合った人間の感情を紐解くのは、子どもにとって難解です。

また、核家族が多いので輪廻転生の話や人の死などが生活から切り離されている場合が多いです。

今回の作品にふんだんに盛り込まれていますので、分からない人もいるかもと思いました。

それにしても、展開が早くて情報が盛りだくさんです。

最後まで興奮しながら集中してみることができました。

強く受けたメッセージ

 ストレートに、そのまま「君たちはどう生きるのか」と、受け止めました。

君の生きる世界は、君が作る、作れると。

この不安定な世の中をどのようにしていくのか、この先は君たちが作るんだ。

これは、具体的にもそうですし、心の持ちようでも変わっていくということも言えます。

濁った眼で見た世界はやはり濁って見えます。

でも、そこで目をそらさずに頭を使って物事を正しく見た時。

腐った社会の中に、一凛の花を見つけて世界が一変してしまう生き方もできるのです。

濁ったままの世界もあなたの世界。

濁りの奥にある澄んだ世界もあなたの世界。

己を信じ、世の中を正しく見ることができたなら、そこから選択する生き方も変わってくるでしょう。

ますます流動性の激しい世の中で、一人一人がどのように生きていくか。

揺れながら、ぶれながら、削られ、研ぎ澄まされ核を持って生きていけますように。

さまざまな思いが湧き出てきて、見終わったときには、ごまかしきれない涙がほほを伝っていました。

見るたびに新しい発見をくれるジブリ作品なので、時間をおいてまた見ようと思っています。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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