看護師をしているからだと思いますが、どんな差し入れがうれしいか、と聞かれることがあります。
正直に言います、差し入れは無くて大丈夫です。
私たちが欲しいものは、患者さんが笑顔で退院することです。
これはどんな看護師でも言います。
差し入れによってケアの質も変わらないので、本当にいらないです、お気遣い無用です。
それを十分承知で差し入れてくださる方々には心から感謝しています。
気持ちが形になっているんだと思うと、無下に断れなくなって受けとってしまうのです。
(ちなみに私はお菓子を受け取っていただけなかった経験があります。50人分のお菓子を持って帰るみじめさ・・・。)
さてさて、それではリクエストにお応えして過去にいただいた差し入れを公開します。
デパート・スーパーで購入した箱菓子
これが一番多いです。
個包装になっており手が汚れないこと、数が多いので総合病院の病棟ではよく休憩室に置かれています。
デパ地下のお菓子が差し入れされると「あ、○○だ。すごい。」とやはり話題に上がります。
スーパーで売っているような箱菓子でも箱だとやっぱり高級感がありますね。
とにかく箱菓子って「わ、誰がくれたの?」と、ちょっと格上の雰囲気があります。
よく見かけるパターンですが、スマートだと思います。
おせんべいだとか、クッキーだとか、たくさん並んだチョコレートだとか、、、。
休憩が取れずに、ちょっとつまんですぐに立ち去っていくスタッフにとってありがたい存在です。
ケーキ屋さんで購入した生菓子

ケーキ屋さんでも、個包装になっている手軽な生菓子、ありますよね。
シュークリームとか、一口ケーキとか。
これもかなり人気です。
「今日、シュークリームが冷蔵庫に入ってるらしいよ。」
と、仕事中に仲間同士で小声でささやきあったりしてニヤッとしてしまいます。
とはいえ、食べながら差し入れてくださった方の経済的背景に思いを馳せて恐縮しています。
ミスドのドーナツ
平成の頃はたまーにいただきました。
ミスドなんて、休憩室は歓声が上がっていましたね。
もう、患者さんに対してすごいなぁ、の一言ですね。
40個以上のドーナツ。値上がりした今ではほぼ見かけません。
スナック菓子・袋菓子・駄菓子

「これ、みんなで食べてよ。」
と、スナック菓子や袋菓子をくださる患者さんがいます。
ほとんどご高齢者や男性の方ですね。
一度は断りますが、ポケットに入れてくださったり
「いらないなら捨てるよ。」
と、看護師に持っていくように強気に出てくる方もいます。
みんなで食べれるように休憩室に置いておくと
「これ誰から?」
と、食事中の話題に上ります。
「○○さんから」
と、差出人の身元が分かるとみんなでほっこりした気持ちになります。
看護師の働く姿を見てとっさに差し入れてくださったんだと思うと、感謝が湧いてきて心温まってしまうのです。
農家さんの野菜
トマト農家さんが自分で作ったトマトとか、取り寄せたみかんとか。
段ボールでいただいたことがありますが、これもうれしいです。
各自が袋に入れて数個持ち帰っていました。
「あの患者さん、農家の方だったんだね。動けなかったときは畑が気になってしょうがなかっただろうね。」
と、患者さんの普段の姿を想像したりしてました。

ペットボトル入りの飲み物
これもうれしいんですよね。
看護師ってなんだかんだ言って体力仕事なので、のどが渇く場面が多いんです。
冷蔵庫の中には2Lのペットボトルで飲み物を用意して働いている人もいます。
お茶を忘れた日なんて
「うわ、今日はやらかした、お茶を忘れた。」
とつぶやくと、みんなが同情の優しい目線で見つめてくれます。
なので、ペットボトル入りの飲み物を段ボールひと箱なんかで差し入れされた日には
「太っ腹だなぁ。」
と、差し入れてくださった方を思い浮かべて深々と頭を下げています。
そういえば、同僚が入院した時、病棟に差し入れてくれたのもペットボトルのお茶でした。

差し入れはしなくていい
ここまで書いておいて、最終的なまとめにひっくり返してすみません。
安心してください、差し入れってしない患者さんがほとんどですよ。
ケアの内容も質も何も変わりません。
また、差し入れが有っても無くても印象なんて1ミリも変わりません。
いや、そりゃあ人間ですもの、差し入れがあればうれしくなることは事実です。
でも繰り返しますが、私たちが一番うれしいのは患者さんが少しでも健康な状態で退院していくことです。
今日もどこかで病と向き合っている患者さんの心が、少しでも穏やかになりますように。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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